0.5

悪魔は、決して天界では生きられない。だからこそ地獄へ行く道を選んだのだ。地獄は天界の逃げ道ではない――もう、彼にとっての、ひとつの居場所だったのだ。神々から追放され、天からも人間からも見放され、全てを亡くして落とされたサタンの……。

(……つまらない)

いっそ――地獄へ行けたなら、新たな世界が『――』を待っているのだろうか。今の、くすんだ色にしか塗り潰されていない、眼を開いて見る価値もない世界から開放されて。

(何も、することがない)

ボロボロの布切れのような服から覗く浅黒い肌を、人々は知らぬ振りをして歩いていた。サンダルはあちこちが剥がれ、髪はフケだらけで汚れていた。下町の裏路地に入り込む。ゴミと泥の匂いがしつこく漂っていた。
歩くと、こわれかけのサンダルから、ぱかりぱかりと間の抜けた音がした。

(……何も……)

『――』は、辺りを見渡す。黒か灰色にしか染まらない道は、冷たさも暖かさも、何ひとつ感じられなかった。



0.5



「よう。そこの坊主」

しゃがれた声に、ふと、足を止めた。裏路地の、よく見なければ分からないような影に、人が座り込んでいた。高齢の男性だった。ボロ布のようなコートを纏い、被っている帽子のせいで顔の半分は見えず、笑った口の隙間からは抜けた歯が三本はあったのが見て取れた。カラカラと空き缶が傍に転がっている。

「……何」
「随分と世界に失望した顔をしているじゃあねえか。何にも楽しいことがないってツラだ」

くつくつと、男性は喉を鳴らして笑った。白い無精髭が揺れて、シワシワの手で頭を掻いた。

「俺に何でも話してみな。これでも坊主の数倍は長く生きているぜ、俺ァよ」
「べつに。言っても、何もない」
「そう硬えこと言うな。どれ……俺がひとつ遊びでも教えてやる」

男性は立ち上がると、傍に転がっている空き缶を拾い上げた。そのまま、晴天に向かってぽおんと放り投げ、落ちてきたら膝で蹴り上げる。何度も空へ膝を突き出すと、その上で空き缶が踊った。手に掴み放ると、にやにやと笑ってみせる。

「ほれ。坊主もやってみろ」
「……」

切れ切れのジーンズの膝に缶の狙いを定めると、ぽん、と突き上げる。一瞬不安定に回ったが、もう一度膝で上げた時にはすっかり安定していた。男性が感嘆の声を漏らす。数回こなしてから、缶を掴んだ。

「終わった」
「いやぁ、やるじゃねえか坊主。俺はお前みたいな子どもにやらせたことが何回もあるが、これを一回でこなせるやつァ初めてだ」

男性は缶を取ると、宙へ放り、開けっ放しのゴミバケツの中へにぴったり収めた。

「缶は膝の動きだけじゃあ安定しちゃくれねえ。どの角度でどう膝にぶつければ良いのか……考えなくちゃ一生飛んでいっちまう。結局それを考えられる奴が、何事でも勝者になれるのさ」
「……つまらないな、それ」
「坊主は勝ち負けに興味はねえか。けどよ、何でも一緒だぜ?頭だ。頭を使える奴が上に登れる」

男性は天を見上げた。ビルとビルの間の細い隙間から、僅かに綺麗な青空と雲が見えた。

「坊主……そんな様子じゃ、学校にも行ってないんだろ」
「ガッコウ……?名前は知っている。俺は、ガッコウに行くのか」
「おいおい、その歳で学校について何にも知らねえのか。才能の持ち腐れだな」

男性は呆れたように首を振った後、不敵に笑った。

「坊主、俺はいつでもここにいる。明日からもここに来い。ここをお前の学校にしてやるよ。文字に計算……お前ならすぐにこなせるだろ」
「……分かった」
「これでも討伐団養成学院って学校の出だ。ま、中退だったがな。一般の勉学なら教えられるさ」

にやりと口元を歪めて笑う姿は、とても楽しげであったような気がした。男性はおもむろに立ち上がり、その場を去ろうとする。思わず、咄嗟に訊いていた。

「名前」
「…………俺に名前なんてねえさ。ジジイとでも呼んでおけ。だから坊主、お前も名乗らなくて良い……。分かったな?じゃあな」

ゆったりとした動きで男性は去って行った。後から追い掛けたが、表に出た時は人が街に溢れていて、あのヨレヨレの背中は少しも見かけることは出来なかった。やる事もなかったので仕方なく、帰路についた。

その家は住宅街の外れにあった。ひどく木材が傷ついている一軒家は、唯一の帰る場所だった。
扉を開けて玄関に入っても、ただいまもおかえりもなかった。静まり返った無言の空気がそこにあるだけだった。リビングの机には、ラップがかかった肉じゃがが入っている。それを食した後、机の下に敷かれた布団で眠る。それが家でする行動のほとんどすべてだった。
家に部屋は他にもある。しかし、どの部屋もすべて鍵がかかっていて、誰がいて何があるか、何も知らなかった。親の顔も声も、物心ついた時から知らなかった。それでも朝夕の食事と、たまに銭湯に行くためのお金が置いてあるから、どうにか生きられていた。
文字は書けないけれど読めていた。言葉は外を歩いて知った。たまに食事の隣に置かれた、誰かからの手紙は、唯一の人との交流だった。周辺の地図やら、最低限のことしか書かれていなかったけれど。

(……明日は……することがある)

汚れたパジャマに着替えて布団に潜ると、すぐに眠れた。




翌日、裏路地に向かうと、確かに「ジジイ」は同じ場所に置物のように座りこんでいた。

「よう。坊主、今日はひらがなの書き取りのお勉強だ」

用意されたのは古びたみかん箱と、新品のひらがなの書き取りノートと、短い鉛筆だった。黒板も時計も椅子も同級生もない学校で、勉強は始まった。
ひらがなの書き取りはあっという間に終わった。真っ白いノートに取替えられて、思いつく物の名前をすべてひらがなで書いていった。

「でんちゅう……びる……つくえ……ほーん、小さい文字までよく書けてるじゃねえか。カタカナいってみるか?」

――結局その日は、ひらがなとカタカナと、一年生で習う漢字が書けるようになって終わった。白いノートの一部を貰うと、家に戻り、冷めた焼きそばを食べながら、初めて手紙を書いた。

「いつもてがみをくれるヒト。おれはガッコウにいかないのか」

書き終わると早々に布団に潜って眠った。
目が覚めたら、朝の味噌汁と一緒に紙切れが置いてあった。

「おかねがないのでいけないです。ガマンしてね」

裏路地に向かうと、またみかん箱と一緒にジジイが座っていた。箱の前に座ると同時に、その目深く被った帽子を見上げる。

「ジジイ。ガマンってなんだ」
「んあ?……ガマンってのは、そうよなあ、出来ないことを堪えることだ。やりたいけどやれないことを、受け入れることだな」
「……俺……学校は、行きたいって思っていない」

何の脈絡もなく、無感動につぶやかれた言葉に、ジジイも淡白な返事をするしかなかった。その日は二年生の漢字と一年生の算数を終えて、帰った。しばらく一年ほどはそうやって、雨が降っても雪が降っても毎日、勉学の日々が続いた。
更に日を重ねると、場所を少し移動して、公園で身体を動かす勉強も教えてもらった。相手の動きの見極め方や、人間の急所の場所、そして生まれたときから左肩に浮かび上がっていた紋章の意味と能力を、頭に入れた。

「水分を奪う能力……それが坊主の能力らしいな」
「……スイブン」
「生き物っつーもんのすべてを壊すことが出来る能力だ。神サマから良い能力を授かってんな」

くく、と喉をひくつかせるような笑い方も、もう慣れた。木の皮に手のひらを寄せると、そこから乾いた音を立てて萎れ、崩れ落ちていく。はらりと地面に落ちた枝を、壊れたサンダルの裏でクシャリと潰した。

「次は何をやれば良い」
「……そろそろ、教えることも少なくなってきたなあ。人間中学までの漢字と計算、戦闘能力さえあれば何とかなるもんだ」

ううん、と腕を組んで悩み始めるジジイをよそに、空を見上げた。知識が増えても相変わらず、くすんだ色にしか映らない世界と、青くもない、綺麗でもない青空。

「ジジイ」
「あ?」
「……つまらない。ジジイ、つまらない時って、どうすれば良いんだよ」

ぽつりぽつりと、つぶやきが溢れた。わずかに沈黙が流れて、風を受けた砂煙がけぶる。ジジイは息を吐くと、肩を竦めた。

「なあに、簡単な話さ。刺激を受ければ良い」
「シゲキ」
「嫌でもつまらないなんて思わなくなる。そうだな、例えば…………今ある現実と当たり前を……ぶっ壊すことだ」

静かに、ほんの少し、目を見開いた。現実と当たり前を、壊す。シゲキ。つまらないなんて思わなくなるもの。――とても、良いものに思えた。

「今の坊主の一番の当たり前は何だ?……それをよく考えることだな」

ひどく、重みのある声色だった。頭の中に日常が輪を広げて回る。家から裏路地へ向かい、学校に行き、帰って眠る。その繰り返しを、人はきっと、「当たり前」と呼んでいる。
は、と、気が付いた時には、ひとりで公園に佇んでいた。壊れたサンダルの音を立てながら、今日も帰路についた。


家に帰ったら、またラップがされた煮物が置いてあった。椅子に座り食べようとすると、ふと、先程の重い言葉が蘇る。

(……壊す……一番の当たり前……)

鍵のかかった、物心がついた時から一度も開かれていない扉を見た。それが開けられていないことが、自分にとっての、一番の当たり前だった。
おもむろに、キッチンに置かれた、あまり使われていない包丁を取った。古びた木の扉は、いくら鍵がかかっていても、大人が体当たりをすればすぐにこじ開けられるような代物だった。
つがいに向かって包丁を振り上げる。がつりと音を立てて、扉が軋んだ。二度、三度とがつりがつりと繰り返すと、支えを失った扉が手前に倒れる。咄嗟に飛び退いて、ぽっかりと空いた闇の穴を見つめた。

「……」

ゆっくりと、中へ足を踏み入れる。まず、鼻についたのは、おぞましいほどの悪臭だった。裏路地のゴミ捨て場にも負けないほどの、腐った匂いが吸い込まれる。思わず顔を歪めた。
ベッドや棚などが置かれた、普通の寝室だった。唯一――違っていたのは、部屋の隅に寝そべっていた、白い身体だった。手に持っていた包丁を取り落とす。
最早身体とは呼べなかった。それはただの、生命を失った、崩れ落ちつつある白骨だったのだから。

「…………知ってしまったのか……タケル」
「!!」

振り返った時は既に遅く、肩は掴まれ、落ちた包丁がその手の中にあった。布が裂かれる音が鋭く響く。胸元に赤い線が走った。後退したところに、今度は足を切りつけられる。床に鮮血が散らばる。
身体を捻り、大きな手のひらから抜け出す。ゆらりとした動きから、素早く懐に潜り込んだフェイントへ。鳩尾へ拳を叩き込むと、身体がくの字に曲がる。床を蹴って飛び上がり、勢いよく天へ足を振り上げた。その脳天にかかと落としを決める。横転するように倒れ込んだ。
気絶した相手の頭を掴む。ぐ、と力強く握り締めると、あっという間に、水分がすべて抜けていった。木の皮と同じように。

「よう。壊せたみたいだな」
「っ!?」

繰り出そうとした浅黒い拳は、パシ、とあっけなく掴まれた。目深に被った帽子が揺れる。

「まあ落ち着け。俺だ、俺」
「……ジジイ」

安堵の溜息が漏れる。すぐに身体を離した。暗闇に溶けるような黒いコートを着たジジイは、ひょうひょうと部屋へ足を踏み入れた。

「いやーしかし、派手にやったなぁ。昂佑の息子なだけあるぜ」
「……こー、すけ」
「早い話、父親だな。…………本郷猛、お前のだ」

す、とシワだらけの指を指された先には、胸元を赤い血で汚したパジャマがあった。意思のなかった目が見開かれる。

「…………俺の……名前……?」
「ああ。いや、自分の名前も知らされてなかったようだがよ。なんつーか、ひでえことしやがるぜ、昂佑も」
「……本郷……猛……」

自分の父親と、名前。情報が頭の中で錯綜する中、力強く腕を引かれた。

「さあて、しゃべってる時間もねえ。あとは自分で考えな。まずは……」

手のひらをかざすと、ぼう、と炎が燃え上がった。暗闇に輝く灯のように、くすんだ景色の内で、美しく。

「坊主。お前の日常を――消す」

その目元で、赤と水が混じったグラデーションの紋章が、光った気がした。


八年間、毎日見てきた居場所は、あっという間に炎に包まれ、瞬く間に形をなくしていった。思い出すことも、叶わないほどに。黒い煙が闇に紛れて立ち上っていく。

「……これでとりあえず、第一段階は完了か」
「第一段階……?」
「いいや、こっちの話だ。……俺ァ今からながーい仕事でな。もう坊主と会うことはめっきりないだろうぜ」
「そうか」

お互いに、顔は見なかった。目の前で激しく燃え盛る、大きな明るい炎だけを映していた。

「ま、ひとつ言えることは…………お前はたった今、ただのマシラになった訳よ。名前の呼ばれない人間なんて、ただの猿、マシラだからな」
「…………マシラ……」
「お前の名前はもう俺しか知らねえ。その俺がお前の前からいなくなる……そういうこった」

コートはその背を向け、歩き出す。あっけない別れをふたりの間に落として。

「ああ……ふたつ、言っておく。すぐにそこ、火に紛れた死臭を嗅ぎつけた魔物と人間が来るぜ。ここから西に真っ直ぐ歩いて行くと裏道がある……そこが隠れ場所には良いだろうな。ついでに…………今から数年後、もし魔物が現れたって知らせがお前の耳に届いたんなら、その裏道を調べな。血の匂いがするエサが転がって嗅ぎつけてくるだろうからなぁ」
「…………」
「坊主。頭の良い奴が生き残る……忘れるなよ」

ひらりと手を振って、背中が離れていく。炎はすべてを崩して燃え盛っていた。今日、見つけたものを、すべて。
遠くから騒ぎ声が聞こえたのを合図に、その場を離れた。足取りはふらつき、言葉と音と傷ががんがんと響いている。
炎はいつの間にか、よそへよそへと燃え移っているようだった。裏道の向こうから悲鳴も聞こえる。魔物が現れたのだろうか。
もう、そんなことは、何も関係がなかった。炎と血で赤く、赤く染まる町を、見ることしか出来なかった。

「……秋の夕日に……照る山もみじ……」

教えてもらった歌をゆるやかに口ずさむ。くすんだ色の世界は段々と赤く鮮やかになっていったが、声と瞳からは同時に生気を失っていった。今まで生きてきたすべての記憶に蓋をするように。

「波にゆられて……はなれて寄って……」

かさかさと、傍で茂みが揺れた。魔物でも大人でもない、小さなそれに、首を振り向かせる。
眩い髪が目に付いた。白くて高そうな寝間着を着ている。鮮やかで澄んだ瞳が、こちらをじっと不思議そうに見ていた。生き生きと、炎よりも輝いている、光に溢れかえった緑色が。

「もみじ?」
「……ああ。知っているんだ」
「前に音楽の授業で、教えてもらったから……」

授業。聞き慣れない単語だった。自分とは違う世界に住む人間だということを、理解する。

「あれ、モミジだろ」
「ど、どこが?」
「赤いところ」
「赤い、かもしれないけれど、もみじは綺麗で、あれは……黒くて、怖いよ」
「ふーん」

綺麗、ということも、知らなかった。向こうはどうやら驚いているようだったが、適当な返事しかしなかった。分からないものに頷いても、しょうがない。すると、向こうは薄い唇を開いた。

「……あの、僕は、天道聖璃。君の名前は?」

名前――――すぐに首を横に振った。

「ない」
「ない?」
「ない。俺の名前は、もう、どこにもない……ただの、猿だ」

驚いて、一瞬口を噤んだ。続いて問われる前に、目を背ける。

「人間、だろう?」
「名前のない人間なんて、ただのマシラだって、ジジイが言ってた」
「ましら……。しましま、みたいだ」
「しましま?俺は馬じゃねえ」

シマウマだなんて、肉食動物に食べられるだけの存在だ。納得いかずに眉を潜めると、聖璃はとても慌てた。

「じゃあ、しま。しまって名前は、どう?」
「名前?俺の?」
「そう。そしたら、もう人間だろう、ね」

しま。心の中で何度も反芻する。名前を与えられるだなんて、思いもしなかった。業火の中にすべてを置いてきた自分に。
良いのか、と、己が問いかけた。『――』の己が。蓋の中から抗議をしている。しかし、それを避けたところで、自分には何も残っていないことに気付いた。小さく頷く。

「分かった。俺の名前は、しまだ」
「……しまは、逃げないの?」
「どこに」
「外に。いずれここは燃えてしまう」
「……どこ行っても、同じだからな」

裏道の向こうへと視線を向ける。赤く燃えていた町と違い、くすんだ色の木々が広がるばかりだった。息を吐く。
すると、真っ白い手が、しまの前に差し出された。

「僕と行こうよ、しま」

優しく、それでいて力強い声色だった。今まで誰にも掛けられたことのないような言葉の色に、く、と喉を詰まらせた。柔らかく翠の瞳が細まっている。

「僕のお父様も、お母様も、きっと、許してくれる……僕はひとりで、兄弟がいないんだ。お母様に掛け合って、一緒に住めるように、頼んでみるよ」
「なんで?」
「だって、行くところがないんだろう。ないのを作るのが貴族の仕事だって、お父様が言ってた」

仕事。先程去って行った背中が、脳裏に過ぎった。

「そうか。じゃあ、仕事なら、行かないとな」

その白い手を、しまは静かに取った。手のひらの温度は暖かくて、感じたことのない温もりが胸の内にまで広がっていった。
先程の出来事がよくできた嘘のように、横を歩く聖璃は嬉しそうに笑っていた。

「しまは、何歳?」
「八歳」
「あ!僕と一緒だ。僕も八歳」

何が嬉しいのか、しまにはよく分からなかった。ただ感じた疑問だけを口に出す。

「兄弟になれるのか、それ」
「双子ってことにすれば良い。双子は一緒に産まれるから、歳が同じでも大丈夫なんだ」
「双子……顔にてないと、ダメじゃなかったか」
「世の中には、顔が似てない双子だっているよ」

だから大丈夫。そう言いながら微笑んだ聖璃に、しまは言いようのない気持ちが押し寄せた。繋がれていない方の手を、胸に乗せる。冷めていたはずの心臓がとくりと鳴った。生命の鼓動が、胸を打った。
この日。本郷猛は死に、天道紫魔が生まれた。たった今、この瞬間。
そして、天道紫魔の生命の鼓動の糸は、こうして聖璃と繋がったのだった。